トップメッセージ
すべての人の心に豊かさを届ける
ー“やさしいみらい”を
新たな文化にー
「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける。」
日販グループでは、全社員が一丸となってこの経営理念のもと、事業を展開しています。これは、お客様をはじめとした全てのステークホルダーに寄り添い、事業活動を通じて社会に貢献し続けてはじめて、実現できるものです。そのため私たちは、「ESG」の概念を重視した経営を推進してまいりました。社会・環境課題への対応が企業に当たり前に求められる世の中においては、地球環境にも、社会にも、人にもやさしいことが大前提であると同時に、企業の成長のエンジンにもなっていくものと考えています。
<出版流通を持続可能なものに>
現在の出版業界は、書店数の減少に加え、物流の2024年問題を契機とする輸送力不足、そして2028年までに施行が予定される通称「トラック新法」では、運賃の下限となる「適正原価」の法定化などが見込まれ、流通コスト全体が上昇する大きな環境変化に直面しています。何も手を打たなければ、全国に本を届け続けることは、今後ますます難しくなります。私たちは、出版流通を持続させるというミッションのもと、持続可能な流通網の構築に向けて取り組みを進めてまいります。
環境面では、日販グループのCO₂総排出量の64%を占める出版流通を重点課題と捉え、2030年度までに<CO₂排出量 ▲26%/返品冊数 ▲68%>をマテリアリティとしていましたが、2024年度末に早期達成したため、2020年度比▲56%(▲44,258t-CO₂)削減へと目標を引き上げました。
返品問題については、これまで同様に出版社様と書店様にはPPIプレミアムや雑誌買切などの施策にご参画いただくことで返品を削減し、業界全体のプロフィットを生み出すだけでなく、地球環境への配慮、労働環境改善へと三者で取り組んでいきます。また、株式会社トーハンとの協業も進め、返品拠点の統廃合による庫内作業コストや固定費の削減、出版社様・運送会社様の負荷軽減に加え、CO₂排出量の削減を実現しています。複数の取次会社の業務を共同で行う協業を推進し、業界全体の業務効率化とCO₂削減に貢献してまいります。
輸配送では、CO₂排出量やエネルギー消費量の削減、ドライバーの労働環境改善に取り組むとともに、グループの物流拠点や機能の整理・統合による物流再編プログラムを推進しています。さらに他業種の荷主企業との共同配送の検証にも参画し、業界の垣根を越えた効率的で持続可能な流通の構築を目指します。
<地域社会への貢献>
社会面においては、地域社会への貢献を重要視しています。書店の減少が社会問題として捉えられているなか、2024年3月には、経済産業省によって「書店振興プロジェクトチーム」が立ち上げられ、国を挙げて地域の書店を支援する動きがスタートしました。私たちの経営理念にある「人の心に豊かさを届ける」を支えていたのは、昔も今も、これからも、地域のコミュニティセンターである書店です。街の文化インフラとして人と文化を繋げ、暮らしを豊かにする大切な場所である書店を守るために、自治体との連携も強化していきます。2025年には、東京都板橋区で開催された「絵本のまちひろば2025」や佐賀県の読書推進プロジェクト「SAGA本恋プロジェクト」への参画のほか、2026年2月に夏目漱石ゆかりの地である熊本県熊本市に開業した新感覚の文学ミュージアム「夏目パージアム」を全面プロデュースしました。本や文化を起点に地域の新たな価値創造や交流の活性化に取り組んでいます。
日販グループの書店27店舗では、ブックオフコーポレーションが運営する「キモチと。」およびシャンティ国際ボランティア会と連携し、お客様が読み終えた本などを店頭で回収、その査定額を、世界のこどもたちの教育機会提供に活かすという取り組みを2022年4月からスタートしており、2025年の寄付冊数は 約23,091冊にも上りました。
海外事業を展開する日販アイ・ピー・エスでは、海外駐在員向けeコマース「CLUB JAPAN」を通じて SaveExpatsと業務提携を結び、オンライン相談サービス「Expatsヘルスケア」を提供し、世界各地で生活する海外駐在員および帯同家族の心身の健康をケアする、健康経営サポート領域に事業を拡大しています。
<人財育成の取り組み>
日販グループでは、「人」を価値創造の源泉と捉え、「人」を大切にするとともに、「人」を事業の中心に置き、「人」の成長と事業の成長がリンクする人的資本経営を推進しています。そのために欠かせない要素の一つが、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンです。各事業の多角化に合わせ、社員の多様な経験やスキルアップの機会を提供するために、所属する事業会社に限定せず、グループ横断した適材適所の配置を行っています。多様な人財の採用・育成、多様な働き方の実現とそれを支える環境整備、そして多様性を尊重しそれを享受できる組織風土の醸成、それらをグループ全社で取り組むことで、グループ各社の事業に多様な価値を生み出しています。2025年度は日販テクシードが東京都「事業所防災リーダー優良企業」に、日販・日販アイ・ピー・エスが「健康経営優良法人2026」に認定されました。
日販グループは、時代によって移り変わるニーズに応えながら、生活者一人ひとりが心豊かな暮らしを享受できる社会への発展に寄与すべく、「“やさしいみらい”を新たな文化に」をESGスローガンに、今後もより一層ESGを重視した経営を推進してまいります。
日販グループホールディングス株式会社
代表取締役社長 富樫 建